高校の頃、ホームルームの時間に1分間スピーチというものがあった。日毎に順番に回って来る。
特にテーマはない。みんな真面目な身の上話だったり、笑い話だったりと内容はもう覚えてないが、「ぇ〜今日なに話そう〜。」とか言いながら難なくこなしていた感がある。
僕は、別に特段寡黙というわけではないが、話があまり上手くはない。
かと言って何かにつけて台本を書いて挑むタイプでもない。
大枠ありきのアドリブでいくタイプだった。
そこで、そのスピーチでも何を話そうかと、ざっくり考えてみたあげく、たいしてピンと来る話などは思い浮かばず、1回目のスピーチではほぼ直前に思いついたことを話した。
話はこう始まる。
「なぜでしょうか。僕は不思議と犬猫に好かれます。」
そしてこう続けた。
「特に近寄っていくわけでもないのに、向こうからやって来たりするので、何故だろうと、考えてみました。
犬や猫などの動物はまず余計な観念がないために、人の本質を無意識に見抜く力があるのだと思いました。きっと優しい人などが直感でわかるのです。つまり、僕は優しいのです。」
こんな結論にこじつけた。
まぁ、1回目なので、反応は"愛ある"「ふ〜ん。」くらいのものだった。
さて、人数が少ないクラスだったので、早々に2回目が回ってきた。
今回は何を話そう。直前までやはり思いつかなかった。
時間になり、みんなの前に立った僕はひらめいた。
「なぜでしょうか。僕は不思議と小さな子供から好かれます。」
勘のいい人は聞き覚えのある導入に、クスッ。
「小さな子供には、偏見などがありません。生まれたままの無邪気な心で、この人はいい大人なのか、悪い大人なのか無意識に感じ取るのでしょう。」
"愛ある"野次が飛ぶ。あ、よかった。
そんな感じで2回目を終えた。
そして迎えた3回目。スピーチは、期間が決まっていただけに3回も番がくる想定はしてなかった。
さあ困った。結局直前まで浮かばない。
しかし、ここはいつものパターン。
直前でネタが舞い降りてきた。
「なぜでしょうか。僕は不思議と老人から好まれるようでして…。」
この先は記事に書かない。
反応はといえば、前回よりも盛大だったのは記憶にある。
優しいのは彼らだ。あったかかったのは彼らだ。
淡々と話したのもよかったのだろうが、犬猫、子供まではいいとして、ご老人までダシに使う人間だ。
おめおめと近寄ってきた彼らはまだまだじゃったのぉ。笑
そしてその後、もし4回目が回って来たらと空想してみた。
次は何を話そう。
同じネタで行こう。いや、でも万策尽きたか。
次は誰から好かれることにしたらいい。
…あった!
それは、パターンを少しだけ変えればよかった。
だがしかし。あえてここに書かない。
さて、あなたなら、どうしますか?
いつも読んでいただきありがとうございます!
次回もお楽しみに♪
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